森の地産地消

●ブログ「八木拓真の伊那日記」2013.6.3より転載

今日はずっと楽しみにしていたイベントに行ってきました。

改装を続けている旧橋場歯科には、カフェになるまでに薪ストーブを導入します!
厳しい冬を乗り越えるため、いまから薪の調達開始です。

伊那市近くの森で始まった薪づくりイベント‼

主催者はNPO法人「森の座」。
伊那谷を中心に、未来へとつなぐ持続可能な森づくりに取り組んでおられます。

イベントは、森の座のメンバーが間伐を行った森で、薪ストーブユーザーが切り倒された木を軽トラなどに積んで持ち帰るというもの。今年の冬に使う薪は、夏までに原木から割った状態にして、乾燥させなければならない。冬支度はもう始まっているんです。

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標準的な一般家庭で一冬に必要な薪の量は、400束程度だそうです。
伊那では薪の状態で買えば1束だいたい400円が相場なので、一冬で16万円ということになる。
軽トラなら約6台分。
このイベントでは、どれだけ積んでも軽トラ1台分が初回3000円、2回目以降が2000円。一冬分が1万数千円で手に入る!原木から切って運んで割る手間があるけど…

僕も信大農学部時代は、森林科の実習で間伐や薪割りを経験しました。薪割りは楽しい!なのでズク出して自分で割ることにしたんです(お金もないし)。「ズク」とは「根性」とか「マメさ」とかいうニュアンスです。伊那弁です。

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会場は広大な森。2か月ほど前に切り倒された木がゴロゴロ転がっている。
軽トラを乗りつけて、原木のまま持ち帰ってもよし、貸してもらえる薪割り機で割ってから積んでもよし。

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僕のチェーンソーの歯を研いでくれる森の座の西村智幸さん。準備不足ですみません…
なにしろ十数年ぶり。エンジンのかけ方から歯の研ぎ方まで、丁寧に丁寧に教えてもらいました。

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いやー最初は手こずりました。
チェーンソーの歯が挟まって動かなくなったり、切っても重すぎて動かせなかったり…
コツをつかんで1時間奮闘。

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元大阪人らしく、スーパーのジャガイモ詰め放題のノリでどんどん積んだものの…
積み方が甘い。もっと積めるはずだけど体力の限界が…
妥協して終了。。

この日は天気もよく、小鳥の声が響く森の空気は格別でした。
会場には椅子とテーブルも用意されていて、薪の調達を目的とするだけでなく家族で弁当持参で訪れても楽しそうだ。
森の座は設立から8年。
西村さんはホームページで、「個々のエネルギーを森林へ少しでも傾けてもらえるような、「仲介者」として、森林を資源や文化として次世代へ引き継いでいく、「伝達者」として、森林と地域と人と共に、この伊那谷で営みを持っていきたいと思っています。そして今は止まっているように見える森林が、動き続けていけるような仕掛けに取り組み続けたい」と。

活動は間伐だけでなく、森の見学会や、炭焼きや木工体験会なども行っている。森と人との距離を縮めるための取り組みです。間伐材を木材として供給する取り組みも始まっています。山に囲まれた伊那谷での活動に、無限の可能性を感じます。

戦後植林された人工林はいま、間伐が行き届かない森が大半です。林業は金にならず、ヒョロヒョロになった木は木材として切り出されることなく放置されている。森林王国の長野県でも、素人が木材を買おうとすればはるばる海外から運ばれてきた外材になってしまう。僕も改装作業で張った床は、ツーバイ材を使わざるをえませんでした。金と時間をかければ間伐材を活用することもできたかもしれませんが…。もっと手軽に手に入るようになってほしいと切実に思う。

人が利用できる持続可能な森を育てるには百年単位の年月がかかる。でも日本はそれを途中で放棄してしまっている。少しでも多くの人が森に目を向けるように、森の座の取り組みを応援したいと心から思います。僕もせめて薪ストーブを通して、地元の森との接点を持ち続けたい。